“終焉の日”(仮タイトル/以下コメントも仮です)

2004年2月10日、美野里ハイタウンの明け渡し期日。
最後に残った3世帯の引っ越し。2年間活動した自治会は、今日で解散。1号棟108号室の
自治会事務所も、今日でおしまい。
それを知らずに、「20年前のお値段」の物干し竿を売りに来たおじさん。
自治会の全世帯の移転をサポートし、引っ越しを見届けてから、と自分の引っ越しが最後に
なった自治会長の家は、まだ片づけの真っ最中。2年間を振り返り、20年後に思いを馳せる
母と娘。自治会の班長のひとりが手伝いに来ていた。
建物の内部解体は各所で始まっていて、残置物が無造作に運び出されている。
猫たちも居場所がないのか、心なしか右往左往しているように見える。
午後、日が陰り、風が出る。美野里ハイタウンのメインストリートは、猫一匹通らない。
19時、自治会長の家と隣の自治会事務所の2カ所だけ、明かりがついている。
最後の、町の灯。

取材:2004年2月10日
(仮タイトル/仮コメント:小川)