完全明け渡しから1週間
美野里ハイタウン再取材ツアー
2004.2.17
2004年2月17日(火)の午後、美野里ハイタウンを再訪しました。
参加したのは、記録・制作メンバーの渡辺・須崎・小川、元住人の木原さん、ゲストの脇本さんの5人。
脇本さんは「2000人のホームページ」取材メンバーのひとりで、同ページ掲示板への書き込みを見て参加してくれました。
「町」から「廃墟」へ、さらに「工事現場」へと変貌していく美野里ハイタウンをご案内します。
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では、新京成バス三矢小台行き「美野里ハイタウン」バス停からスタート。
1. 4、3、2号棟を東側から眺めつつ、1号棟へ。 | ||
公道から4・3・2各棟への入口には、ビニールテープ(ピンク色)が張られています。1週間前にはなかった通行止めの印です。 1号棟の前に回り、自分たちの住まいだった306号室を見上げてみましたが、特に変化はなし。階段入口には住人が置いていった不用品がそのまま残されていました。 1号棟と管理棟の間から広場のほうへ向かおうとした時、顔なじみの警備員さんに呼び止められ、「危険だから入らないで」と注意を受けてしまいました。実は立入禁止のビニールテープをくぐって来ていたのです。この3ヶ月間、常に「立入禁止」の看板に囲まれて暮らしていたので、特に気にとめずに、つい…。 |
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4号棟3階。まだ人が住んでいるような、ベランダの物干し。 | 3・4号棟の常連猫。落葉にもぐっていると暖かいようです。 | ゴミ置き場には「使用禁止」の貼り紙。 |
2.管理棟前で、警備員さんに現在の状況を聞く。 |
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この解体工事は、3月20日ごろには更地にする目処らしい、とのこと。現在も昼夜、敷地内を巡回警備しているが、街灯もつかず窓の明かりも(もちろん)ないので、コワイほど真っ暗。 「ほんと、吸い込まれるような暗闇ですよ。こわいですよ〜。この前、風が強いときなんか、いまは内部解体のため各戸のドアの封鎖を解いてあるので、風でキィィ〜なんて不気味な音が、あちこちでするんですよ・・・」 |
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管理棟わきの、「メインストリート」入口。 |
「危険!」
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10号棟と11号棟の前では、敷地境界の金網の外に工事の囲いを設置中。 |
3.10号棟〜11号棟 | ||
管理棟前から「メインストリート」を横切り、10号棟・11号棟方面へ。金網の外側の道路から眺めてみると、
窓ガラスが外され、四角いうつろな穴が並んでいます。自転車で通りかかった人が、私たちの背後で停車し、唐突に「美野里ハイタウンも終わりです」と話しかけてきて、ドキッとしました。渡辺が木原さんに現在のお気持ちをインタビュー。 「ここで27年、暮らしたのよ。いよいよ壊されるんだねぇ…。私ね、今住んでるところから見えるのよ、1号棟が。毎日見て、ああ今日もあった、まだ残ってるって確認するの。いよいよ壊されるとなると、寂しいけれど、なんとなく楽しみでもあるのよね、次に何ができるのかな、って。また見にくるよ」 |
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近所の人が通り抜け、猫が横切っていた「メインストリート」。ん?9号棟が消えてる! | 10号棟前、野放図に枝を伸ばした木。 | 11号棟。手前の鉄パイプは、ただいま設置作業中の囲いの骨組み。 |
4.「御殿」見物 | ||
来た道を戻り、1号棟を通り過ぎ、美野里ハイタウンの大家さんである秋谷家の「御殿」見物へ。バス通りをはさんで会員制テニスクラブがあり、その奥が「秋谷御殿」「お城」「豪邸」「迎賓館」… さまざまに呼ばれる豪邸です。夜間照明設備のついたミニゴルフコースまである広大な敷地と三角屋根のある屋敷。きれいに刈り込まれた生け垣の隙間から覗くと、庭の奥に紅梅がひっそりと咲いていました。 テニスコートに隣接して大家さんの古くからの自宅があります。高い生け垣に沿っていくと、お勝手口があり、4匹の猫が丸くなって体を寄せ合っているのが見えました。ここでエサをもらっているのでしょう。美野里ハイタウンの猫たちにも、「明日からここに来ればエサがもらえるよ」と教えてやりたいものです。 |
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これが噂の…。(この写真は3年前に撮影されたものです) | ||
5.南側の裏道を行く | ||
起点に戻り、今度は南側のへりに沿って裏道を下り、メインストリートの出口まで行ってみました。 5号棟・6号棟の南側は庭が広く、いまはヤブと化していますが、ここに狸がいるらしいです。警備員さんが何度か目撃しているのです。 20数年前は子どもたちと母親でにぎわった陣ヶ前公園。隣接して、団地自前の浄化槽施設(市の下水道に接続しておらず、汚水は自前の浄化槽で処理していた)。ちょうどワゴン車が停まって、人が地下へ降りる階段室へ入っていったところでした。取り壊しに伴う作業でもあるのでしょうか? この浄化槽、風の強さと向きによっては、6号棟までニオイがした、と聞きました。 |
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6号棟のベランダ側。
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ユリの木の根本から見上げる14号棟。左から木原さん、脇本さん、渡辺。 | 14号棟。ベランダのパネルが真っ赤に錆びているのは、コストダウンの試みで、第一期建設の3〜5号棟より質の低い材料を使ったから、と言われています。(未確認) |
住民以外立入禁止の看板が、「工事中につき立入禁止」に替わりました。 | (お〜い。大家さんちのお勝手口に行くと、エサがもらえるかもしれないよ) | 9号棟はすっかり瓦礫と化していました。 |
6.バス停に戻る/猫のエサやりについていく | ||
今日の工事は終わったようで、いつの間にか静かになりました。来た道を戻る途中、4号棟前で、いつも猫の世話をしているYさんと、元住人のIさん母娘にバッタリ。Iさんは、今日が猫にエサをやれる最後のチャンスと思って来たのだそうです。住まいの棟に顔なじみの猫がいて、名前をつけてエサをやっていた、その猫に一目会いたかったのですが…。
17:30 猫の食事スポットをめざして、こっそりメインストリートを下ると、9号棟はすっかり瓦礫と化していました。コンクリートの湿った冷たいニオイ、ほこりっぽい、体に悪そうなニオイが立ちこめていました。 (文責:小川) |